準備を進めている調布市のパラアート展。2回目となる今回は、市や連絡会からの要望もあって、事業所の垣根を超えた共同制作品に取り組むことになり、夏休み期間中は、いろいろな場所・かたちで制作をすすめた。
会場の一つには、一般客が多く訪れるという「調布まつり」@京王閣も含まれていた。野外でそこそこ広いスペースを確保できるということで、壁一面に自由にダイナミックにペイントするワークショップを最初は提案した。誰もが参加しやすいし、そこでできた作品も二次使用しやすい。打ち合わせの時に、篠原有司男(ギューチャン)の「ボクシング・ペインティング」の写真を、参考イメージとして事業所の方々に見せたら、とても反応が良く盛り上がったのだが、役所はちょっと渋い顔。
結局会場(京王閣)からの「汚れたら困る」の一声で、ダイナミックなペイントはできなくなった。会場はもちろん、服が汚れたらどうする、洗い場は十分ではないetc…どうにかしてやる方法を考えるのではなく、とにかくのっけから「できない」ではじまるのには毎回閉口させられるが。。。それで「身体を使って描く」ということをテーマにしながら、指や体の一部を使って描く「点描」をやってみようということになった。基本はフィンガーペイントだが、足でもいいし、口を使ってもいい。
当初、何か描くモチーフを設定しようかという話にもなったが、一般の方々が多く参加するイベントで、何かひとつのモチーフを完成に導くのはなかなか難しいという声があったので、今回は色を指定することにした。オリンピックの会場を有する調布市としては、来年のオリンピックイヤーがひとつのピーク。このパラアート展CHOFU-fufuもオリンピック委員会からの認証を受けているイベントであり、市としてはこの共同制作も来年のオリンピックに何かしら(グッズ作りなど?)に活かしたいと考えているらしい。個人的にはオリンピック関連には乗り気ではないし、盛り上げる筋合いもないけれど、まぁそんなこともあり、今回のフィンガーペイントは、赤、黄色、緑、青、黒と、5色のオリンピックカラーを使って描くこととした(ちなみにパラリンピックのカラーは、赤、青、緑の3色であるが)。色に罪はなし。
一枚の紙に5色すべて使って描くものと、赤、青、緑、黄色、黒、それぞれ1色のみを使って描くパターンと2種類制作。
実は、この日私は参加できなくて、他の方々に完全にお任せだったのだけど、予想以上にたくさんの方に参加してもらったようで何より。あとでフィードバックしてもらった話によると、手に絵の具をつけて描くということに躊躇している子たちが結構多かったとか。好き/嫌いは当然あると思うけど、とにかく自由にグチャグチャにやる、というカタルシスを体験してもらうというのも、個人的には一つのテーマだったのだけれど。
緻密な肖像画を描くことでおなじみの、とある事業所のL君が、このワークショップでは指を使って熱心に塗りたくっていたというのを聞き(&写真で確認し)、客観的な「才能」と、本人がやりたいことというのは当然ながら別なこともあるんだよなぁと、思わず考えてしまう(L君がそうだ、と言っているわけではない)。それは障がい者だけの問題ではない。「好きなことをする」「好きなことを伸ばす」という、世間でしばしば掲げられるスローガン、それってそう簡単じゃないから常に主張され、「ビジネスの可能性の中心」みたいに語られ続けられていると思うのだけれど。